病院や介護サービスを利用する際、さまざまな「保険証」や「手帳」を提示するよう求められ、「どれを出せばいいの?」と混乱した経験はありませんか?

健康保険、介護保険、障がい者手帳、そして各種の認定証など、その種類は多岐にわたります。しかし、それぞれの役割を知っておけば、いざという時にも慌てずに済みます。

今回は、医療・介護で使われる主な証書を一覧にまとめ、その役割を分かりやすく解説します。


1. 健康保険

私たちの生活に最も身近なのが健康保険です。主に、病気やケガで医療機関を受診する際に使います。加入している健康保険によって、保険証の種類が異なります。

  • 健康保険被保険者証:
    • 国民健康保険:自営業の方や年金受給者などが加入します。
    • 協会けんぽ:中小企業の会社員が加入します。
    • 健康保険組合:大企業の会社員などが加入します。
    • 共済組合/船員保険:公務員や船員が加入します。
  • 健康保険高齢受給者証: 70歳~74歳の方が、医療機関窓口で支払う自己負担割合を示すための証書です。
  • 後期高齢者医療被保険者証: 75歳以上の方が加入する医療制度の保険証です。原則、75歳になると自動的に切り替わります。

2. 障がい者関連

身体や精神に障がいのある方が、さまざまな福祉サービスや割引を受けるために使用する手帳です。

  • 身体障害者手帳: 身体の障がいの程度に応じて交付されます。
  • 療育手帳: 知的障がいのある方に交付されます。
  • 精神障害者保健福祉手帳: 精神疾患のある方に交付されます。
  • 重度障害者医療証: 障がいの程度が重い方が、医療費助成を受けるための証書です。

3. 医療費の助成

特定の病気や状況にある方が、医療費の自己負担額を軽減するために使います。

  • 自立支援医療受給者証(精神通院医療): 精神科への通院医療費の自己負担を軽減します。
  • 健康保険特定疾病療養受療証: 人工透析を必要とする慢性腎不全など、特定の重い病気で治療を受ける際の自己負担を軽減します。
  • 特定医療費指定難病医療受給者証: 指定された難病(特定疾患)の治療にかかる医療費の助成を受けます。
  • 自己負担上限額管理票: 医療費の自己負担上限額を管理するためのものです。

4. 介護保険

要介護認定を受けた方が、介護サービスを利用する際に使います。

  • 介護保険被保険者証: 40歳以上になると全員に交付される証書です。要介護認定の申請や、介護サービスを利用する際に提示します。
  • 介護保険負担割合証: 介護サービス利用時の自己負担割合(通常1~3割)を示す証書です。

5. 医療費・介護費の限度額

高額な医療費や介護費が発生した際に、自己負担額を軽減するための認定証です。

  • 健康保険限度額適用認定証: ひと月の医療費が自己負担上限額を超えた場合、この認定証を提示することで、窓口での支払いが上限額までとなります。
  • 介護保険負担限度額認定証: 所得が低い方が、施設入所時の食費や居住費の負担を軽減するために使います。

まとめ

このように、保険証や各種手帳にはそれぞれ異なる役割があります。ご自身の状況に合わせて、どの証書が必要なのかを把握しておけば、いざという時にもスムーズに対応できます。

もし、どの証書を使えばいいか迷った場合は、まずは健康保険証を提示し、窓口のスタッフに相談してみましょう。